日本のアニメやドラマが将来的にピンチであるという話

日本の若者は世界で活躍している。スポーツでも、音楽でも、世界的に名を知られた者が登場している。

しかし悩ましいことに、その一方で、日本のアニメやドラマは将来的にピンチを迎える可能性が高まっている。いやいや、下手すると日本全体で困ったことになってしまうかもしれない。

もちろんそんな事態には、決して陥って欲しくない。人気TVドラマ"相棒"のように、シーズン20まで行くドラマが次々と誕生してくれると嬉しい。

そこで今回は、いったい何が起こっているのかを紹介させて頂きたいと思う。

ドラマやアニメにおける音楽の重要性

ドラマやアニメにおいて、音楽は重要だ。

冒頭画像はTVドラマ相棒で使用されているLindberg Air Titaniumという眼鏡フレームだけれども、それよりもテーマソング「終わりの始まり」の方が有名かもしれない。チャン・チャーン・チャン・チャン・チャン・チャーン... と、大変にテンポの良い曲だ。

ドラマを観たことがある方ならばご存じのように、あれは楽団による演奏だ。ストーリーや杉下右京さんの活躍は重要だけれども、相棒では音楽も重要な要素となっている。

だからこそ国民的な人気ドラマとなり、シーズン20まで続いているのかもしれない。

またアニメでいうと、ソードアートオンラインなどが代表的かもしれない。最近のアニメは数名で構成されたバンドによるオープニングやエンディングが多くなっているようだけれども、ソードアートオンライン向けに作成された曲はオーケストラが特徴的だ。

長編ドラマだけあって、多くの登場人物たちが、さまざまな困難を乗り越えていくというストーリー構成だ。だからこそ音楽的にも、バンドよりもオーケストラの方が適しているのかもしれない。

そういえば全米人気No.1を誇ったTVドラマNICSも、オープニングでは基本的にピアノが活躍するけれども、オーケストラ的な音楽構成になっている。

もちろんバンドだと長編ドラマや長編アニメに向いていないという訳ではない。ただし長い物語を支えるには、バンドから楽団まで、幅広い音楽があった方が役立つという訳だ。

正直言って、僕に音楽的な素養は無い。今までの説明も、いかにも素人っぽい。

しかしそれでも、「長く続く物語には、音楽のレパートリーも豊富な方が有用となることが多い」という単純シンプルな内容には、皆が頷いてくれるかと思う。

スポーツ医学と音楽医学

しかしここで悩ましいのは、オーケストラのバイオリニストやピアニストを支える医療技術だ。さらに広く捉えると、ミュージカルの役者や、バレリーナなども含まれる。

傷ついた人々を音楽で癒すという「音楽療法」は有名だろう。そうでなくても気分転換に音楽を聴く人は多いかと思う。しかしそうでなくて、問題となるのは、その音楽を提供している人々も、調子を崩すことがあるということなのだ。

一流になればなるほど、精神や肉体を酷使する必要が生じて来る。別にTVドラマやアニメを支えてくれるレベルであれば良いということであっても、恐ろしく高度なレベルの訓練が必要となる。

僕のような音楽的な素養が皆無な者であっても、稀に「あれっ?」と感じる時がある。そしてニューヨークのブロードウェイで観た「オペラ座の怪人」は、それはそれは圧倒的な迫力だった。

だから一流のスポーツ選手と同じように、音楽家たちも「ケガとの付き合い」が重要になって来る。僕が唯一扱える楽器であるオカリナならばともかく、フルートなどの楽器で前歯が抜けていたら、さぞかし困ることだろう。一方でバイオリニストは腕や首に負担がかかるだろうし、他の楽器も似たようなものかと思う。

スポーツの世界では、スポーツ医学が進んでいると聞く。たしかに二十世紀後半はオリンピックやプロスポーツが普及して、需要は高まったと言える。それに確かに、スポーツ選手の方が体を動かす。

そしてスポーツ選手で得られるノウハウは、たとえばフィギュアスケート選手向けのスポーツ医学から、バレエなどにも反映できる。まずは最初にスポーツ医学が普及したのは、当然の流れと言えるだろう。

しかし先ほどの前歯の話ではないけれども、またピアニストの指先ではないけれども、「大きくは動かさないけれども、反復や固定によって影響の生じる肉体部位」という医療問題も存在する。また "点数" を競うよりも "表現" を競う要素が高まるので、スポーツとは違った意味でのメンタル的な重要性も増す。

だからスポーツ医学が重要なのは当然だけれども、同じように音楽医学とでもいった分野も重要になって来るのだ。

(特に最近は1970年代のTVドラマやアニメよりも、時代が進んだことなどによって、いっそう高度な音楽や芸術表現が要求されるようになっている)

そういえば「いきものがかり」がインタビューに応じていた時、ボーカルの吉岡さんがノドを大切にしている話を聞いた。なんでも彼女、マスクをつけて寝ていたそうだ。

一流の芸術家であるというのも、大変なのだ。

先行する米国や欧州

さて「若さ」がスポーツ選手のケガをカバーできるケースがあるように、「若さ」が音楽家たちの問題をカバーできるケースもある。最近は世界的コンクールに入賞する日本人が登場しているし、教育面は相当充実しているように思う。

しかし問題は、そうやって限界的な高みを極めようとする音楽家たちが、不調になった場合の対処方法だ。露骨に言ってしまえば、今までは技術レベルもソコソコな技術レベルだったし、人材も豊富だったから、重要性が高くなかった。

しかし先進国では、今では少子化が進んでいる。当然、生まれながら持っている素質が一定水準以上の人数も減少する。インドや中国には優秀な若者が多いが、12億人を越える人口であれば、日本の10倍ということになる。

そういうことが理由なのかはさておき、ともかくまず米国で音楽家などをケアする医療技術の研究が始まった。そして欧州でも、同じような「音楽家や芸術家を支援する医療技術」の研究が進み始めた。

これ、日本人だったらば、実は誰もが無視できない問題だったりする。

TVドラマやアニメの音楽がレベルが下がったとしても、あなたがドラマやアニメを観ない者であれば、それらを楽しむという点では、たしかに関係ないと言えるだろう。

しかし和製のドラマやアニメが高い売上や利益を叩き出せば、それは日本に収められる税金という面でプラスとなって帰って来る。ハリウッドの洋画であれば、節税対策などで減少するかもしれないけれども、基本的には米国が税収を得ることになる。だから広く大きな目で見れば、音楽医療などの問題は、日本人の誰もが恩恵を受けるのだ。

それに肉体と精神のギリギリを攻める人たちをケアできる医療技術が蓄積できれば、それは一般の医療技術への応用も期待できそうだ。

(僕はセミナー講師が続いた時に、声が一カ月ほど出せなくなった経験がある。あの時は本当に困った)

それに欧米の方が先行すると、芸術家が日本で活動する意義が減少してしまう。「のだめカンタービレ」を挙げるまでもなく、一流の音楽家になるためには、一流の設備や指導者が整った海外が望ましい。

そして無理を続けることによる体調不良になっても欧米の方が対処しやすいとなったら、のだめのように「日本に帰る」という選択肢を選べるだろうか。

もちろん医療に国境はないし、研究成果は論文や学会発表などを通じて、世界中で共有されるだろう。しかし人間に適用するには、ノウハウの蓄積が必要となる。そんなに単純なことではないのだ。

まとめ

だから日本においても、音楽家や芸術家を支援する医療体制や医療技術の充実というのは、重要性を増しつつある。少なくとも僕には、重要性を増しつつあるように見える。

実際に重要性を増しつつあると認識し、行動しようとする医師たちが力を合わせようとしている。そこで先日も朝日新聞が取材したように、そのような有志たちがクラウドファンディングで資金調達をして、試行錯誤を始めようとしている。

なかなか注目度が高いようで、同じく正しい医療情報を普及させる方法を検討するクラウドファンディングに次いで、二番目に支援が集まっている。2022年4月10日時点で94%なので、「あともう一歩」というところだろうか。

そんな訳で、ゲームの課金に上乗せして出資するのは辛いかもしれないけれども、音楽のショボいゲームというのも辛い。そして下手すると、日本の国力に影響するかもしれない。

ともかく僕のようなオッサンは、若者が活躍を続ける姿を見続けたい。不調で悩んだり、引退する姿などは、できるだけ見たくない。そんな輪kで、上記のクラウドファンディングを紹介させて頂く次第なのである。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静