岸田文雄総理も使っている、フチのある「フチなしメガネ」
フチのある「フチなしメガネ」と言われても、ちょっと想像するのは難しい。しかし身近なところに利用者が存在し、その一人が岸田文雄総理(2022.02.13時点)だったりする。ちなみに僕の家族も同様に、フチのある「フチなしメガネ」を利用している。
これは一体どんなメガネであるかを、簡単に解説させて頂くことにする。
Lindberg Spirit Titanium
まず岸田総理にしても家族にしても、Lindberg Spirit Titaniumという眼鏡フレームを使用している。冒頭画像のようにブリッジとテンプルの2箇所(ツー・ポイント)でフレーム構成するツー・ポイントメガネ、つまり俗にいう「フチなしメガネ」である。
普通は眼鏡フレームがあって、その中にレンズを装着する。そちらはフルリム眼鏡と呼ばれている。Lindbergにしても、チタン製の針金によるフルリム眼鏡が有名だ。
この画像はLindberg Air Titanium、略称エアチタと呼ばれる眼鏡フレームだ。政治家だと韓国の某大統領(2022年2月13日時点)が使用している。
相棒というTVドラマでは、水谷豊氏が演じる杉下右京さんが使用している。御覧のように、レンズの周囲はチタン製の針金で囲われている。
ちなみに別にLindberg Air Titaniumに限らず、Lindbergのメガネはアチコチに登場する。僕が乱視設定で不具合に遭遇したと報告したLindberg Spirit Titanium Basic P10 (プラチナシルバー)は、俳優の菅田将暉君がバラエティ番組で使用していた。
映画シン・ゴジラがTV放映された時には、ガッキーがCMでLindbergメガネを装着していた。こうやって調べ始めると、キリがない。Lindbergはデンマーク企業であり、世界中の人々が使用している。全米放映TVドラマNCISでも見かけたことがある。
ただしLindberg Spirit Titaniumというフチなしメガネ、どうしてこんなに人気があるのかは謎である。家族の場合は、Lindberg Air Titaniumというフチあり眼鏡を使用していたけれども、これが廃盤となったので購入した。
ちなみにどうして上記の画像みたいなLindberg Air Titaniumを使用したかというと、子供が使っているからだ。(子供を見ているうちに、自分も使ってみたくなったという訳だ)
何しろ小学生の頃は、日常的な動きが粗雑で、一日おきに眼鏡屋さんへフレーム修理に行くことが続いた。それで音を上げて、「象が踏んでもレンズしか壊れない」と言われるLindberg Air Titaniumを選択した。
僕もLindberg Air Titaniumを使用しているけれども、これは子供による破壊行動に耐える耐久力と、恐ろしいまでの軽さ、そして杉下右京さんが利用していたAdaniフレームが欲しくなったことが理由だ。
何しろ僕は、老境に差し掛かるまで裸眼で生きて来た。今でも運転免許は、「裸眼OK」である。そんな者が眼鏡に慣れるには、次の三条件を満たすことが必要だった。
- 子供に破壊されにくいこと
- 小さなレンズ(玉形)であること
- 軽いこと
長く眼鏡族を通している家族にしても、Lindberg Air Titaniumを装着した瞬間に、「軽いっ!」と驚いていた。僕はフォーナインズ999.9、ルノア、BJ Classicなども試してみたけれども、現在ではBJ Classicの一山式オーバル眼鏡、Lindberg、3プライス店の眼鏡だけが生き残っているだけだ。
なお僕はLindberg Spirit Titaniumよりは、Lindberg Spirit Plateを使うことの方が多い。これはTVドラマのガリレオで湯川学先生が使っているフチなし(ツー・ポイント)メガネを参考にしているからだ。
(これも軽量だし、レンズを小さくすることが出来る。子供からの破壊には今一つだけれども、レンズの形を自由にカスタマイズ出来るのは嬉しい)
フチの作り方
さて軽量であるおかげで、装着していることを忘れて事件となることも多いLindberg Air Titaniumだけれども、最近は廃盤となってしまうモデルが多発している。
Lindberg取り扱いで有名な某店スタッフによると、今のご時世は、Air Titaniumのように目立たないフレームよりも、フチが目立つ方が人気があるとのことだ。それでLindberg Spirit Titaniumによって、廃盤となったAir Titanium代わりにすることが多いらしい。
(最近では廃盤で新品を手に入れるのが難しいためか、折れたLindberg Air Titaniumの修理サービスも実施されている。子供もフレームで "捻って遊んでいたら" 折ったことがあって、この修理サービスのお世話になったことがある... Orz)
家族の場合は近視が進んでレンズ再製作が必要になったのだけれども、先ほどのLindberg Air Titanium Kellaモデルが廃盤となっていた。それで冒頭画像のように、フチありの「フチなしLinberg Spirit Titanium」を作ることになった。
岸田総理にしても、よく御覧いただくとお分かりのように、ブリッジやテンプルの先端がレンズから突き出ている。フチなしメガネでは、しばしば採用される技法だ。(Lindbergであることは、形状やヒンジ部分の構造から分かる)
そういえばWebサイトではLindberg Spirit Titaniumと呼称されているけれども、昔はLindberg Spirit Basicと呼ばれていた。ここら辺にも、Lindberg社の思惑が表われているのかもしれない。
ともかくフチありにするのには、このAir Titaniumのレンズ作成技術が活用されている。同じように幅1mmで深さ0.5mmの溝をレンズ周囲に掘り、その部分を塗装するのだ。
ちなみに某3プライス眼鏡店の某駅前店では、幅0.7mmで深さ0.3mmの溝を掘る機械しか設置されていなかった。アンダーリムとも呼ばれるハーフ・リム眼鏡の場合、その程度で十分に固定できるからだ。
残念ながら幅0.7mmで深さ0.3mmだと、画像のようにクッキリとしたフチを作ることは難しいだろう。おまけに溝が浅いので、塗装が短期間で剥げ落ちるリスクもある。3プライス眼鏡店で「フチの塗装サービス」というのは、聞いたことがない。
家族のLindberg Spirit Basicにしても、初めて納品された時には塗装落ちしている箇所があった。何かに強く衝突した衝撃で剥げ落ちる場合もあると聞いたが、さすがに金属メッキが得意なLindberg社にしても、レンズの塗装は大変らしい。
(フレームへの装着は店舗で実施するものの、レンズ加工はLindberg社で実施するらしい。うろ覚えで恐縮だけれども、たしかレンズメーカーでは無かったように記憶している)
まとめ
以上のようなカラクリにより、フチありの「フチなしメガネ」が製作される。レンズに溝を掘って、その中を塗装するのだ。
岸田総理の場合は上半分だけ塗装することにより、ハーフ・リムのように見える「フチなしメガネ」となっている。塗装だけなのだから、たしかに「ふちナシ」だし、構造的にはブリッジとテンプルの2箇所だけでフレーム構成する「ツー・ポイント」である。
なお当然のことながら、岸田総理がフチを塗装したレンズを利用している理由は把握していない。単なる趣味かもしれないし、僕の家族のように、Lindberg Air Titaniumと同じように見せたいという理由かもしれない。
謎は謎のままが美しいだろう。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
P.S.
なんで僕の家族がレンズだけ交換しなかったのかというと、まだ自宅内用の眼鏡として利用可能だったからだ。何しろコチラは僕と違って、レンズ価格10万円.....
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記事作成:小野谷静