【文具日記】クロスの互換芯に鉛筆を利用した件の後日談
クロスのボールペン互換芯として、鉛筆を割って取り出した芯を利用できるのは有名な話である。
ペン先が細くて三菱鉛筆SK-8くらいしか良質な互換芯が存在しないクロスだけれども、さすがに鉛筆の芯(2mm)であれば問題ないという訳だ。
一方で悩ましいのは、シャープペンシル(メカニカルペンシル)である。
かつて中古品を入手した一時間後に、某氏に使い物にならなくされてしまったことがある。日本で販売されているシャープペンシルと同じような感覚で粗雑に取り扱うと、特に中古品は故障してしまうことがある。
そしてシャープペンシルの場合、気に入った外側だけを使うというのは相当難しい。なぜならばシャープペンシルは0.5mm、0.7mm、0.9mmとバラエティがあり、ペン先の太さも異なっている。ここら辺が替え芯(リフィル)の先端部分とインクだけが異なるボールペンとは、事情が異なる部分だ。
このために僕は、お気に入りだった14K(金無垢メッキ)のシャープペンシルに、鉛筆の木軸を削って押し込んで利用することにした。18Kの数十万円レベルには及ばないけれども、14Kだって十分に高級感がある。
それに何より、手に持った時に滑りにくい。この持ちやすさは、個人的にはスターリングシルバーに匹敵すると評価している程だ。いくらシャープペンシルとして使い物にならなくなってしまっても、ゴミ箱行きは少々モッタイナイ。
(出た! 昭和世代のモッタイナイお化け!)
しかし残念ながら、鉛筆の木軸を削るという方法は、少し書き込むと鉛筆を削り直す必要があり、あまり... というか、全く実用的では無かった。
そこで今回紹介するのは、もっと気軽に再利用する方法である。おかげで胸を張って、実用的になったと自己評価している。
(要するに、これも自慢話ですな)
黒付箋紙の活用
銀河英雄伝説という小説に登場するヤン・ウェンリーは、巧みに相手の心理的盲点を突く戦術で勝ち星を重ね、「ミラクル・ヤン」と呼ばれるようになった。
今回の僕が考案した方法も、仕掛けとしては単純だ。誰でも簡単に真似することが出来る。
この画像が全てである。ちょっと見ただけでは想像しにくいかもしれないので、少しだけ解説させて頂くことにしよう。
まず鉛筆の木軸は、全く使用していない。少しだけ苦労したけれども、木軸を割ることによって、鉛筆の芯だけを利用することにした。
だから前回と異なって、黒く見える部分は木軸を黒マジックで塗ったものではない。百均で購入した黒付箋紙を丸めたものだ。
三枚くらいを丸めたので、内側の中心部分には芯を通せるくらいの空洞があって、ちょうど外側はクロスのシャープペンシルの外殻とピッタリとフィットするようになっている。これは別に外側から見えるものではないから、セロテープを貼って太さを調整しても良い。
コツとなるのは付箋紙を丸めた筒は本体軸の前部分と後ろ部分を接続する本体部分だけでなく、ペン先が突き出ている細身の部分を別に作成することだったりする。そこだけは付箋紙一枚くらいを丸めて、ちょうどペン先部分から突き出るようにした。
そして円筒形に突き出た部分を、カッターで円錐形に整えた。円錐形になったら、型崩れすることがないように、黒いマスキングテープで上張りをした。
数年... 一年... いや半年くらいしか持たないかもしれないけれども、何度でも気軽に製作することが出来る。そんなに大した耐久性は必要ない。それに芯と付箋紙部分に適度の摩擦が必要だけれども、そちらの方が早く問題化しそうな気がする。この部分の摩擦が弱くなると、芯が勝手に飛び出してしまう問題が生じてしまう。
もちろん芯に爪用のマニキュアなどを塗って、摩擦が強くなるように調整するといった方法を使っても良いだろう。さらにユルユルになってしまったら、芯にセロテープなどを巻くという方法を考えても良い。
ちなみに画像の後端部分から突き出た棒みたいのは、爪楊枝だったりする。さすがに何もないと、筆記しようとした時にペン先の芯が引っ込んでしまう。それを防ぐために、爪楊枝を使っている。
つまりこの爪楊枝が、鉛筆の芯ホルダーのように、芯の突き出し具合を調整している。芯が減って来たら、爪楊枝の位置を調整して、もっと芯が突き出るようにする。爪楊枝の位置は、御覧のようにセロテープで調整している。
このように芯と木軸代わりの部分を分離することにより、簡易的な芯出し機構を実装したという訳だ。コンピュータに喩えると、計算リソースのコンピュート部分と、データを保存するストレージ部分を分離するアーキテクチャを採用したと言っても良い。
ペン先の工夫
先に説明したように加工したおかげで、ペン先は次の画像のようになっている。
鉛筆の芯だから、何もしないと円筒形になっている。さすがに直径2mmの芯をそのまま使うのは面倒なので、カッターで芯先が尖るように加工している。このくらいの手間はかけても構わないだろう。
ただし芯先を尖らせると、当然ながら折れやすくなる。持ち歩く時などに苦労するだろう。
そこで前回同様、"ぺん先キャップ" なるペン先カバーを作成した。ただし今回は黒付箋紙を使っているので、気のせいか少しスマートになったような気がする。
やっているのは前回同様、ダイソーで購入した黒付箋紙をクルクルと丸めて、先端部分を折り曲げただけだ。それを今回はセロテープを使わず、黒のマス金テープで固定している。角張った部分は少しだけ切り落とした。
以上が改良版の、簡易式シャープペンシルというか、鉛筆の芯ホルダーだ。使い勝手は悪くなく、自分では相当気に入っている。
まとめ
前回は鉛筆の木軸を削って装着したので「無理やり感」があった。今回も第三者から見たら似たようなものかもしれないけれども、随分と使い勝手は良くなった。
あと今一つだと感じているのは、やはり芯が2Bであることだろうか。アイディアをスケッチするのにはピッタリだけれども、僕はどちらかというとメモ取りに使いたいのである。
しかし残念ながら、今の我が家に溢れかえっているのは、誰かが使いかけのまま放置した2B芯ばかりである。当分は我慢して使うことになりそうだ。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静